
ついに日本時間2/1にChatGPT o3-miniがリリースされましたね!
OpenAI CEOのSam Altman氏も投稿していた通り、o3-miniは事前の発表から「数学・プログラミング分野に強く、高速かつ低コスト」という点が注目されています。それでは実際o3-miniはどのような点で優れているのか、既存のo1シリーズやGPT-4oなど、ほかのモデルたちと比較しながら、このo3-miniの特徴を詳しく見ていきましょう!!
o3-miniとo3-mini-highの概要
まず、o3-miniはChatGPTの新モデルとして、特にSTEM(科学・技術・工学・数学)やプログラミング分野に強い推論力を持つモデルとして登場しました。最大の特徴は高速推論と低コストの両立であり、専門的な数式や長めのコードに対しても比較的短い時間で回答を返せるという点です。
・ChatGPT Plus、Team、Proユーザー:リリース当日から利用可能
・Enterpriseユーザー:1週間以内に提供予定
・無料ユーザー:チャット画面の「Reason(理由)」ボタンを選択すると、一部機能を試せる
また、有料ユーザー向けには「o3-mini-high」も提供されており、こちらはより深い推論と高い精度を優先したモデルです。高速性と精度を柔軟に切り替えられる点がo3シリーズの特長だといえます。
画像認識については非対応であり、視覚的推論を行う場合は従来のo1シリーズを引き続き利用しなければならない点に注意が必要です。加えて、APIとしてはChat Completions APIやAssistants API、Batch APIでの利用が可能で、推論モードはmedium・highに分かれています。
o3-miniはどこが強い?数学&論理特化の実力
o3-miniはSTEM、特に数学とプログラミング領域の性能がきわめて高いとされています。具体的なベンチマーク結果からも、それが顕著に表れています。
まず第一に挙げられるのは競技プログラミング(Codeforces)の優れた精度です。推論深度を増やすほどEloスコアが上昇し、下図を見てもわかる通りo1-miniを常に大きく上回るとの報告があります。

こうした評価から、「SWE-bench Verified」で最高パフォーマンスを記録し、コーディングにはほぼ最強といえるレベルの信頼性を獲得しました。特にHuman Preference Evaluation(STEM分野)では、o1-miniと比較して誤答率が39%減少していることから、エンジニアの作業効率を大きく向上させる可能性があります。「o3-miniはコーディングには最強」このように評価されるほど高精度な回答を得られる理由は、STEM分野に特化した学習と推過程のチューニングにあります。ベンチマークなどに関する詳細は以下のOpenAIの公式YouTubeによる解説動画をご覧ください。
参考YouTube:
o3-miniはSTEM、特に数学とプログラミング領域の性能がきわめて高いとされています。具体的なベンチマーク結果からも、それが顕著に表れています。
AIME 2024(数学競技)では、「低推論モード」でo1-mini相当、「中推論モード」でo1と同等を示し、「高推論モード」ではo1-miniとo1を上回る成績を記録しています。また、PhDレベル科学問題(GPQA Diamond)では、「低推論モード」でo1-mini超え、「高推論モード」でo1に匹敵するパフォーマンスを示しました。

さらに、専門家でも数時間から数日かかるような非常に難しい問題で構成されるEpochAI Frontier Mathベンチマークにおいては、他のAIモデルが2%未満の正解率しか達成できない中、o3は25.2%という驚異的なスコアを記録し、高推論モードかつPythonツール連携を行うと32%以上の問題を一度のトライで解決できるという結果が出ています。

ロジック部分に特化している分、「面白さ」や「クリエイティブさ」を抑えめにし、純粋に要素分解や論理的整合性を追求するという性格が際立ちます。事実の矛盾点を洗い出したり、論理展開を構築したりといった用途には非常に適している反面、言い回しや表現力を要する文章制作ではやや淡白に感じられることもあります。
ロジック特化&コスパ重視モデルとしての強み
o3-miniの大きな魅力の一つは、ロジック特化とコスパの両立です。大規模かつ高精度を求めるならo1-proやo3-mini-highが適していますが、スピードとコストを優先する場面ではo3-miniが有力な選択肢になります。
ユーザーからは「論理構築や矛盾点の指摘、情報整理に強い」という声が多く聞かれ、事業のPoC(概念実証)や小規模プロジェクトの初期導入としても扱いやすいモデルと言われています。
- 事実ベースの要素分解
- 矛盾点の指摘・解消
- 仮説構築と論理展開の立案
上記のような「考える作業」を代行してくれるため、個人の学習や研究補助にも利用価値が高いです。一方で、画像解析が必要な場合はo1シリーズへ切り替えるなど、明確な分業が必要となります。
しかしOpenAIが公表している「o3-mini System Card」によると、o3-miniは数学やプログラミングといったロジカル領域において、顕著な性能向上が見られるとされている一方で、**日本語など一部言語の自然な表現や多層的な文脈理解に関しては、GPT-4oが優位であることが明記されています。**これはGPT-4oが大量の言語データを多角的に学習しているのに対し、o3-miniはSTEM系の推論や演算にリソースを集中させているためだと推測されています。


参考:cdn.openai.com/o3-mini-system-card.pdf
既存モデルとの比較
モデル | 応答速度 | 数学性能 | プログラミング性能 | 最大トークン数 | 利用制限 | 主な用途 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
o3-mini | 最速 | 高い (o1-mini~o1相当) | 高い (Eloスコア2130) | 100,000 | – Pro: 無制限- Plus/Team: 1日150メッセージ | STEM分野、教育機関、中小規模プロジェクト | 低コスト・エラー削減39%、論理構築に強い※ 画像認識非対応 |
o3-mini-high | 中程度 | 非常に高い (87.3%正答率) | 複雑な問題解決に優 | 100,000 | – Pro: 無制限- Plus/Team: 1日150メッセージ | 高度な研究開発、複雑タスク向け | 深い推論モード |
o1-mini | 高速 | 中程度 | 中程度 | 65,536 | 1日50メッセージ | 基本的推論タスク、低コストプロジェクト | 軽量版でシンプルタスクに最適 |
o1 | 中程度 | 83.3%正答率 | 上位10%の性能 | 100,000 | 1週間50メッセージ | 幅広いビジネス・研究用途 | 汎用性が高い、画像認識対応 |
o1-pro | やや遅い | 86%正答率 | 非常に高い | 200,000 | Pro: 無制限 | 大規模プロジェクトや長文・複雑タスク | 長いコンテキスト処理が可能 |
GPT-4o | 遅い | 中程度 | 中程度 | 12,800 | 無料ユーザー: 3時間80回 | 汎用タスク、低コスト用途 | 無料プランで利用可 |
上記表からもわかるように、o3-miniは速度とコスト面で優位性を保ちつつ、特にo3-mini highにおいては数学・プログラミング性能がo1系モデルを上回る性能を持っています。**ただし、o3-miniは現状画像認識に非対応なため、**画像認識が必要な場合やさらに高度な研究開発にはo1系やo3-mini-high、o1-proなどとの併用を検討する必要があります。
またo3-miniではWeb検索も使用できるためその部分においては大きな利点とも言えます。

料金・コスト面におけるメリット
OpenAIの公式発表によると、o3-miniのAPI利用料金は下記のとおりです。
- 入力トークン100万あたり:1.1ドル
- キャッシュ済み入力トークン100万あたり:0.55ドル
- 出力トークン100万あたり:4.40ドル

大規模推論を行いつつも、比較的低コストで維持できるため、PoCや小~中規模のプロジェクトに対しては最適解になり得ます。無料ユーザーでも「理由/Reason」ボタンを利用すれば試せるため、興味がある場合はまずそこで性能をチェックするのが良いでしょう。

ユーザーの声と使用感
o3-miniのリリースに伴い各種SNSでもo3-miniと従来のシリーズに対する意見や感想などが見られたためその中でも注目されていたものを抜粋して取り上げさせていただきます。
「o3-mini < deep-seek R1 < o1」の評価
まだo1の総合力には及ばないものの、論理的思考や分析力の高さ、スピード感は好印象を持たれている。
「日常的な思考の壁打ちならo3-miniで十分」
o1-miniより回答の厳密性がアップしているため、日常的な疑問解消に便利。
「検索機能が結構大きい」
回答中に最新リンクを添えてくれるため、知識のアップデートが早い。
「o3-mini-highは深い推論ステップを全部見せてくれるし速い」
o1-proの推論レベルには劣るがo1と同等レベルの精度でo1よりも早く推論をしてくれて、かつ内容の掘り下げレベルが高い。
「無料でも試せるのは嬉しい」
月3万円課金していたヘビーユーザーもo3-miniの無料解放に驚いている。
GPTシリーズとの違い — 推論型「oシリーズ」の特徴
GPTシリーズが“図書館型”と形容されるように、広範な知識をストックして即座にサマライズするのに長けているとすれば、oシリーズは“推論型”モデルとして、自ら論点を分解し問題解決のプロセスを重視する作りになっています。
o3-miniの場合、特にSTEM&プログラミング向けの性能チューニングを施すことで、深い論理解析やコーディングタスクに強いモデルへと仕上がりました。応答の面白さやクリエイティブな文章構築よりも、正確な判断や要素分析を優先させるアプローチをとっているのがポイントです。
シチュエーション別おすすめモデルの使い分け
シーン | おすすめモデル | 理由 |
---|---|---|
カジュアルなQ&A / 日常雑談 | GPT-4o / o1-mini | 無料または低コストで気軽に使える。要点をまとめたい場合に適している |
学習・課題解決(特にSTEM) | o3-mini | 高い論理推論力と高速応答を両立。数式・証明などでその真価を発揮 |
競技プログラミング・実務コーディング | o3-mini / o3-mini-high | 推論モードを状況に応じて切り替え、難易度の高い課題にも対応可 |
研究開発 / 複雑な長文タスク | o3-mini-high / o1-pro | 大量コンテキストや深い推論が必要な場合に最適 |
画像認識 / 視覚情報の解析 | o1 / o1-pro | o3-miniは画像対応なし。ビジュアル推論はo1系へ依存 |
このように、o3-miniは論理面に特化しているため、数式処理や高度なプログラミング課題には非常に効果的です。一方で、表現力や長文コンテキスト処理を求める場合は、他モデルや上位のo1-proを選ぶ方が適切なケースもあります。
まとめ:論理タスクに特化したo3-mini、まずは試してみよう
ChatGPT Plus、Team、Proユーザーならすでに利用可能で、Enterpriseユーザーは1週間以内に利用開始が予定されています。無料ユーザーも「Reason」ボタンからo3-miniの一部機能を試せるため、まずはその実力を体験してみるとよいでしょう。
数学・科学分野やプログラミング性能で、o1シリーズを上回るベンチマーク結果が報告されている反面、言い回しや文面の面白さにはあまり力を割いていないのが特徴です。画像解析が必要な場合はo1シリーズへ、より高度な研究開発や長文分析が必要ならo3-mini-highやo1-proを検討するのがおすすめです。
論理構築や高度な計算をスピーディにこなす点こそがo3-mini最大の魅力です。今後のアップデート次第ではさらなる性能向上も期待できるため、STEMやコーディング中心のプロジェクトには要注目のモデルと言えるでしょう。これからもAIの進化から目を離せません。
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