
「DX推進!」と聞くたびに、「うちもやらなきゃ!」と焦ったこと、ありませんか?今や「デジタルトランスフォーメーション」という言葉が当たり前のように使われ、ほとんどの企業がDXを掲げているはずです。しかし、現実には、データの活用を始めていない企業があまりにも多いのが現実です。例えば、Gartnerの調査によると、データ活用の成果を全社的に出している企業は、なんとたったの8%というデータがあるんです。驚きですよね。

でも、ちょっと待ってください。今、これを読んでいるあなたがもし経営者や管理職なら、「そんなはずはない!」と思うかもしれませんよね。多くの企業がDXを進めているはずなのに、なぜデータ基盤は進まないのでしょうか? 答えは簡単です。データ活用は『鶏と卵』のジレンマに陥っているからなんです。
DXが必要な背景
まず日本のDX化推進の背景について知っていきましょう。日本では少子高齢化により労働人口が減少しており、経済成長を維持するには一人ひとりの生産性向上が欠かせません。人手不足を補い業績を伸ばすため、多くの企業が業務効率化や省力化に取り組む必要に迫られています。そこで鍵となるのがデジタルトランスフォーメーション(DX)です。DXとはデータとデジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革し、生産性向上や競争力強化を図る取り組みのことです。
具体的には、AI(人工知能)や自動化技術などの最新テクノロジーを業務に取り入れることで、作業の自動化や効率化を実現できます。反復的な手作業はAIに任せ、人はより付加価値の高い仕事に集中できるようになるでしょう。その結果、生産性が上がり、人手不足の中でも今まで以上の成果を出すことが期待できます。ただし、こうしたDXを進めるには業務データのデジタル化や新しいシステムへの投資が必要です。新たな技術導入やシステム開発、人材育成など、多くの分野でまとまった投資が求められるため、短期的にはそれなりのコスト負担が発生します。つまり、「DXをやりたいけど、お金も手間もかかる」というジレンマに企業は直面しがちです。
企業のDX投資のジレンマ – 鶏卵問題 –
DXの必要性自体は多くの企業が認識しています。しかし、いざDXに投資しようとすると「本当に費用に見合う効果があるのか?」という不安がつきまといます。実際、DXの有効性は理解していても費用対効果が見えないと踏み切れない企業は多く、結果としてDX導入に着手できていないケースも少なくありません。国内企業の約半数程度しかDXに本格的に取り組めていないというデータもあり、日本はアメリカなど他国と比べDX推進に差をつけられているのが現状です。投資したらどれだけリターンが得られるのか不透明では、経営判断としてGOサインを出しづらいのは当然でしょう。

また、「うちには活用できる十分なデータがないし…」「新しいシステムを入れても使いこなせるかわからない」といった声も聞かれます。DXを進めるにはデータ活用が肝心ですが、そもそも社内の業務データが整備されていなかったり、人材が不足していたりして不安を感じる企業も多いのです。結果として、「まずデータ基盤を作る投資が必要だけど、その投資が報われる確証が持てない」という堂々巡りに陥りがちです。
こうした状況はまさに「鶏が先か卵が先か」の鶏卵問題に例えられます。DXを成功させるためには最初に思い切った投資が必要です。しかし、経営としては「成功するか分からないものに投資はできない」というジレンマがあります。成功事例がないと投資できず、投資しないと成功事例も生まれない――まさに鶏卵問題です。このジレンマにより、DXの必要性は感じつつも最初の一歩を踏み出せずに足踏みする企業が少なくありません。
社内での意見対立も鶏卵問題
DX推進をめぐっては、社内の意見対立もしばしば発生します。先に進めたい派と慎重派が真っ向からぶつかり合い、どちらも譲らないためプロジェクトが前に進まないというケースです。「変革を急ぐべきだ」というDX推進担当者に対し、「現場の負担が増えるからやめてくれ。」「効果が出るかわからない」と抵抗する経営層や現場社員……こんな構図は珍しくありません。
実際、「新しいAI・CRMツールを導入しよう」と経営が言い出しても、現場から「仕事が増えるだけだ」と反対されてしまうことがあります。DXで業務効率が上がると頭では分かっていても、経営者目線の先行きの不透明さや、現場の人にとっては慣れたやり方を変えるストレス・追加の作業の方が実感として大きく、素直に賛成できないのです。 このようにお互いを批判し合うばかりでは、新しいチャレンジに踏み出すどころか現状維持が精一杯でしょう。DXを成功させるには、まず社内の足並みをそろえる必要があります。どちらか一方が強引に進めても反発が起きるだけですし、互いに譲らず平行線のままでは何も変わりません。社内の鶏卵問題を解消するには、両者の溝を埋める工夫が求められます。
スモールスタートでDX化への突破口を開く
では、このような鶏卵問題をどう突破すればよいでしょうか?ポイントは「スモールスタート」、つまり小さく始めることです。いきなり数億円規模の予算を投じて大掛かりなDXプロジェクトを始める必要はありません。まずは費用もリスクも小さい範囲で試してみるのが効果的です。

たとえば一部の部署や業務プロセスに絞ってデジタル化を進め、電子化できる書類を電子化するというような小さな所を変えてみるといった具合です。最初から会社全体を変革しようとせず、身近な課題を1つずつデジタル技術で解決していくことで、DXの効果を実感しやすくなります。仮に小さな施策が失敗してもダメージは限定的ですし、うまくいけば「お、これは使えるぞ」と社内の空気が変わり始めます。
そして大切なのは、小さな成功体験をチーム全体で共有することです。
「この前導入したチャットツールで会議の調整が楽になった」「在庫管理をシステム化したらミスが減って助かった」など、DXの恩恵を感じられた例が出てきたら積極的に社内で発信しましょう。そうすることで、当初は懐疑的だったメンバーにも徐々にDXのメリットが伝わり、協力してみようという雰囲気が生まれてきます。最初は小さかった成果も、成功体験の積み重ねによって組織全体の自信につながり、「もっとやってみよう」「次はあれも改善しよう」という前向きな連鎖反応を起こすことができます。スモールスタートで得た勝ちパターンを横展開することで、結果的に大きなDXの波を起こすことも十分可能なのです。
これからのDX化推進のための第一歩
DXを進めようとする企業が陥りがちな「鶏卵問題」とは、「成果が出ていないから投資や変革に踏み出せないが、踏み出さないと成果も出ない」というジレンマでした。人口減少や競争激化の時代、生き残りのためにはDXによる変革が避けられません。しかし闇雲に大金を投じたり急激な改革を迫ったりしてもうまくいかないのも事実です。そこで、まずは小さな一歩からDXを始めるスモールスタート戦略が有効です。小さな成功を積み重ねることで不安や抵抗感を和らげ、社内の合意形成を進めながら徐々に変革の規模を拡大していくのが理想的な進め方でしょう。
最初の一歩は勇気が要りますが、一度踏み出せばその経験が次のチャレンジを容易にします。まさに小さな成功体験が大きな変革を生むのです。DX時代の荒波を乗り越えるには、卵が孵化してニワトリが育つように、地道な取り組みの積み重ねで未来への種を育てていくことが重要です。
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