【2025】AI時代のデータ人材不足はなぜ? いま知っておきたい採用市場のリアル

タイトルアイキャッチ:採用市場の現状と今後の展望

AI時代に求められるデータ人材、どこにいるの?

「AI時代だから、うちもデータ活用を進めたい!」と思って求人を出してみても、なかなかピンとくる人が見つからない…。そんな嘆きを聞くことが増えました。実際、データアナリストやデータエンジニアを雇おうとしても、募集をかけた途端に年収のハードルが高すぎて断念したり、ようやく面接までこぎつけても他社に取られてしまったりと、厳しい現実があるようです。なかには、「採用したはいいものの、思ったように活躍してもらえずに早期退職された」という声もあるかもしれません。

いまの日本の採用市場は、企業間の争奪戦が激化するほどにデータ人材が不足しています。現在日本では、2018年時点で約2万人の先端IT人材(データサイエンティスト等)が不足しており、この不足数は年々拡大。IT需要が中程度に伸びた場合、2021年には約5.3万人不足するとの試算もあります。さらに長期的には、2030年にはデータサイエンス分野で79万人もの人材不足に達すると予測されています。まさに需要に対して供給が追いついておらず、企業間で「人材の椅子取りゲーム」が起きている状況です。AIやビッグデータというキーワードに反応し、さまざまな業界が「うちでもデータドリブン経営を!」と意気込んだ結果、求人の枠ばかりが増え続けてしまい、供給と需要のバランスが崩れています。こうした背景を考えると、採用担当者の苦労は相当なものですよね。

IT人材需要に関する調査のグラフ


出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年3月)

「データドリブン経営」は難しくないはずなのに、なぜ人材がいない?

AI活用やデータ分析といったフレーズを耳にすると、どうしても大がかりなシステム開発や、データサイエンティスト級の高度な分析手法が必要だと思ってしまうかもしれません。確かに、完全に内製化するなら専門性の高い人材が必要ですが、最近ではクラウド上で手軽にデータを蓄積し、分析に活かせるツールも増えてきています。

にもかかわらず「うちの会社では無理そうだ」と尻込みしてしまう企業が多いのは、データ分析の成果がいつどれくらいの形で返ってくるのか、イメージがつかみにくいからでしょう。そして、その不透明さに拍車をかけるのがデータ人材不足と人件費の高騰です。

データ人材と周辺人材採用単価の推移の図


かつてはITエンジニア全体の年収レンジも、一般的な総合職とそう大きくは変わらない時代がありました。しかし今や、データアナリストやデータエンジニアといった専門領域の職種は、数年前と比べても年収相場が大きく上昇し、その傾向はさらに強まっています。スタートアップや外資系企業が積極的に高待遇を提示することで、経験豊富な人材がそちらへ流れてしまい、中小企業やこれからデータ活用を始めようとする企業にとっては、なかなか手が届かない価格帯になっています。

年収交渉のハードルと「本当に求めているスキル」

「AI時代にはデータ活用がマスト!」という認識が広まったおかげで、データ系職種への注目度は高まっています。実際、データサイエンス関連の大学や学部の新設・拡充など、教育面でも変化の兆しは見えてきました。とはいえ、それで一気に人材不足が解消されるほど簡単ではありません。

  • ベテランのシニア人材は、既にどこかの企業で要職についていて、なかなか動いてくれない。
  • ミドルクラスは転職市場に出ると複数社から引く手あまた。条件の良いところへ飛び込むので、なかなかゲットできない。
  • ジュニア層は成長見込みはあるものの、今すぐバリバリ戦力になるわけではない。

こういった層ごとの特徴を踏まえると、企業としても「とにかくデータ人材を獲得しなくては!」と考えて高い年収を提示するだけでは、なかなか長期的に活躍してもらうことが難しいのが実情です。また、採用した人材に合った環境整備や、“必要なデータを使いやすい形で保管できる状態”を社内に作っておかないと、せっかくの有能なアナリストやエンジニアがその能力を発揮できず、結果的に早期離職につながってしまうケースもあります。

過去と比べてどれだけ高くなった? データ系人材の年収相場

厚生労働省の統計や各種求人データを見ても、ITエンジニア全体の給与が近年上昇傾向にあるのは間違いありません。特にデータ分析やAI関連の職種は、ここ5年ほどで年収相場が100万円単位で上がったという報告も珍しくありません。

データエンジニア:20年前は約400万程度でしたが現在は、インフラやシステム構築の知識も求められるため、2024年の平均年収は557万円。またさらに高い報酬が設定されるケースも多いです。外資系や大手企業なら1000万円を超えるオファーも珍しくありません。

データサイエンティスト:20年前はこの仕事は信仰だったため平均年収は年収は300万円台から400万円台でした。しかし現在では高度な数理統計や機械学習の知識が必要とされるため、2024年の平均年収は696万円となっています。PMの役割を兼務する場合は更に年収が上積みされることも珍しくありません。

こうした職種に共通しているのは、単に「プログラミングができる」だけではなく、ビジネス視点でデータをどう活かすかを考えられる人材が求められている点です。高度な数理モデルを組めるエンジニアやサイエンティストでも、現場の課題を把握できず「ただ分析しただけ」で終わってしまうと、企業にとっては宝の持ち腐れになります。結果をビジネスにどうつなげるか、どんなKPIを設定すれば良いかを考えられるか否かで、年収のレンジにも大きな差が出るわけです。

データは「宝の山」だけど、採用難は今後ますます深刻化

この時代、AIやデータベースの活用はもはや必須のものとなり、また企業が持っているスモールデータはそれこそ宝の山。そこから新規事業のネタを得たり、既存事業を効率化したりと、活用の幅は無限大です。さらに今後は生成AIの進化などを背景に、「とりあえずデータを整理し蓄積しておけば価値が出る」という考えがますます定着していくでしょう。

しかし、それを現実に落とし込むためには、適切にデータを扱える人材が不可欠です。需要は高まる一方なのに、すぐに人材を増やすのは難しく、国としても教育カリキュラムの整備や人材育成制度の拡充に奔走しています。実際に、2030年にはデータサイエンス系だけで79万人もの人材が不足するとも言われていますから、企業同士の「人材の椅子取りゲーム」はさらに激化していくことが予想されます。

AI時代におけるデータ管理の重要性と今後の展望

現在でもデータ人材の確保は困難ですが、AI時代が本格化する今後はデータの管理・活用の重要性が一段と増すと考えられます。AIを活用したビジネスでは質の高いデータが不可欠であり、そのデータを収集・整備し分析できるデータアナリストやデータエンジニアの役割はますます重要です。企業各社がこぞってデータ人材を求める中、求人市場では有効求人倍率のさらなる高騰が予想されます。実際、2030年に向けてはAI・データサイエンスのスキルを持つ人材ほど需給ギャップが大きく開き、高待遇でも確保したいとする企業が増える見通しです。

このように過去20年のデータ人材市場の推移を振り返ると、求人倍率の大幅な上昇と給与水準の高騰によって、現在の採用環境がいかに厳しいかが明確です。データ人材の採用難は今後も続くどころか、AI時代の到来でさらに深刻化する可能性があります。企業にとっては、「データ管理の重要性」を再認識すると共に、人材育成や待遇改善など長期的な戦略でこの「データ人材争奪戦」に備えていきます。

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