【インタビュー】村田会計事務所様 業務内訳や不採算クライアントの可視化に成功!

このたび、sento.groupのクライアントである村田会計事務所の3代目 村田昌平様にインタビューをさせて頂きました。

村田会計事務所様は北浦和で開業して以来、地域の皆さまの経営をサポートされてきました。村田昌平様が入所されてからはデータドリブンな会計事務所としてDX化の推進に注力されています。

これまでの歩みからsento.groupとの取り組み、今後の展望までをお話し頂きました。

 

目次

村田会計事務所様のご紹介

― 村田会計事務所様のご紹介をお願いします

村田会計事務所は1950年代ごろに創業してから70年ほど皆さまのサポートをしています。もともと祖父母が埼玉の出身だったため、今のエリア(北浦和)を基盤にして商店や料理屋など、地域内のお店を対象にして段々と広がっていきました。

祖父から始まり、私で3代目になります。個人のお客様が150人ほど、法人のお客様が百数十社ほどで全体で約300のお客様がいます。現在は法人のお客さまが段々と増えてきている状態です。

― 村田様が入所された経緯を教えてください

小さい頃から仕事をしている姿を見ていたのでいつかは事務所を継ぐという気持ちはあり、小学生の頃から会計士の資格を取得することを考えていました。高校の頃に専門学校の存在を知り、大学入学とともに勉強を始めて会計士の資格を取得しました。

その後、民間の会社を数社経て、2018年から村田会計事務所に合流しました。

― 入所して感じた課題を教えてください

まず、私が入所したときには施設がかなり古い状態になっていました。施設は使い始めて50年ほど経っていて、昭和の頃から変わっていないような印象でした。

以前の事務所

従業員も60代前後のメンバーが約半数を占めており、スタッフの年齢層が全体的に高くなっていました。お客様も古くからのお付き合いの方が多く、新しいお客さんを獲得できていない状況でした。

正直なところ、このままの状態でも仕事は成り立ちはしますが、今のままでは新しいお客様を獲得していくことや今の時代にあったやり方をすることは難しいと考え、全てを変化させる必要を感じました。

自社での取り組み

― 感じた課題に対して、どのように取り組まれましたか?

大きく取り組んだ事柄は次の4つです。

  1. サイト制作
  2. 設備の改修
  3. 地域の交流
  4. 内部のデジタル化

一番最初に取り組んだことはサイト制作です。オンライン上で検索してくれた人やなにかのきっかけでお会いした人の最初の入り口が公式サイトになるため、サイトの品質が今後の営業活動の根幹になると考え、予算をかけて制作に取り組みました。

制作会社にサイト制作を依頼しましたが、多くの会計事務所のサイトを調査してデザインが優れていると感じた事務所様のサイトを参考にイメージを伝えました。その事務所ではサイト上で写真を多く使用しており事務所の雰囲気がよく伝わるようになっていたので、当事務所でもカメラマンに2, 3日がかりでサイト制作用の写真を撮影しました。

しっかりと予算をかけた甲斐もあって、非常に満足のいくサイトができました。

制作された公式サイト

次に取り組んだのは設備の改修でした。すでに建物が老朽化しており取り壊す必要もありましたので、業者の選定・内装・外装その他もろもろを半年以上をかけて新しい事務所の建築に取り組みました。

それと並行して進めていったのが地域の方々との交流です。既存のお客様とのつながりはありましたが、それ以外での地域の人たちとの繋がりがなくなっていたので、地域の経済団体と交流を深めていき地域内の人脈づくりを進めていきました。

同時期に内部のデジタル化を進めました。昔ながらの方法で紙で情報を保管していることも多かったためFreeeを導入したり、コミュニケーションツールとしてChatWorkの導入やオンラインミーティングへの対応などを進めました。

― それまでの取り組みで困ったことはありましたか?

内部のデジタル化の一環としてGoogle Workspaceを早い段階で導入し、その中でできることを進めていました。例えば、以下のようなことです。

  • 共有ドライブの作成
  • メールをGmailで管理する
  • スプレッドシートやGoogleフォームを使って顧客情報を整理する

しかし、データを貯めたあとに整理・分析する、といったことが自分たちだけではできていませんでした。「収益性の改善」「生産性の向上」「ナレッジ・経験の引き継ぎ」など、やりたいことはたくさんありましたが、スプレッドシートやGoogleフォームでは解決が難しくGoogle Workspaceでの限界を感じました。

そんな折にsento.groupさんと出会って、データベースを始めとしたデータ基盤の導入に興味をひかれて協力を依頼しました。

sento.groupとの取り組み

― sento.groupに依頼して実施したことにはどんなものがありますか?

Google Workspaceで解決できないことで一番困っていたのは社員それぞれの工数や業務内訳の可視化ができていないことだったので、日報集計の移行から始めました。

これまでGoogleフォームを経由してスプレッドシートに日報を貯めていたのですが、新しいデータベースに直接登録するための日報送信フォームを新たに作成しました。あわせて過去分の日報データの形式を整えて新しいデータベースに取り込みました。

次に取り組んだのは請求情報と顧客台帳の取り込みです。こちらも既にスプレッドシートでリストにしていたものを新しいデータベースに取り込みました。

― データベースの導入でどんな結果が得られましたか?

社員の工数や業務内訳の可視化が自動で表示できるようになりました。各社員の残業状況や業務内訳が自動で集計されて業務内容もグラフとして可視化されるようになったため、業務配分の見直しがデータをもとに検討できるようになりました。

各従業員の工数とその業務内容(※データはダミーのものです)

また、これまでは日報や請求情報がバラバラのデータとして存在していたため組合せた情報を分析することができていなかったのですが、一つのデータベースにデータを集約することで様々なことがわかるようになってきました。

例えば、日報情報と請求情報を組み合わせることでクライアントごとにかけた工数あたりの請求金額を割り出し、不採算になっているクライアントの割り出しができるようになりました。この表から、「契約していないはずのサービスを提供している」「請求金額を値引きしすぎている」「担当従業員の業務の進め方に問題がある」のような問題が発生しているクライアントの“あたり”をつけることができるようになりました。

クライアントごとの工数あたり請求金額(※データはダミーのものです)

他にも統合したデータの組合せで「従業員別・対応顧客別の収益率」「各サービスの平均提供額・総額」などがわかるようになりました。

― 統合データの分析によって起きた変化を教えてください

今までは経営会議をするにあたってベースになるような実績のデータがなかったのですが、この仕組を作れたことで「どのクライアントに何の作業で時間を使っているのか」「クライアントごとの生産性」が実績で出るようになったことで“あたり”をつけて改善策を考えられるようになりました

具体的には、まず各従業員の工数を見て標準の勤務時間からどれぐらいオーバーしているかを確認します。次にその人達がどのクライアントに何の業務で時間を使ったのかの内訳を確認します。「このときは特別なことがあったから時間がかかった」といったことを確認していきますが、たまに「どうしてこんなに工数がかかってしまったのか?」ということが見えてくることがあります。そういった場合に担当者に時間がかかった原因を確認して、一緒に対応策を考えていくことができるようになったのが大きな変化ですね。

― データベースを導入してどんな成果が出ましたか?

売上向上やコスト削減の成果に関してはまだこれからですが、明らかに行動量が増えたと感じています。今までであればそもそも見ているデータが不確実だったり、その集計に時間をかけているうちに

「じゃあどうするか?どう改善するか?」

を検討する時間も体力も減っていっているような感覚がありましたが、元データが正確なレポートを見ながら議論できることで行動量に転換できている気がします。

お客さんへの請求金額を検討する指標になっているのは大きいですね。具体的には、新規でお客さんを獲得したときや既存のお客さんから追加で料金をいただくときの金額の指標になっています。顧客を獲得するために安すぎる値段を提示してしまうのを防ぎ、合理的に値段を提示することができるようになりました。

しかし、まだ課題もあります。不採算クライアントのレポートを出すことで、補正請求によって売上を改善していけると思いますが、実際にクライアントへ

「不採算だから追加で請求させてください」

とはいきなり言い出せない部分は当然あり、とはいえ事務所全体の収益性の向上のためにここは少しづつでも取り組まないとなと思っています。

― 社員の方々に変化はありましたか?

すでに3割位はデータベースの導入によって可視化されたデータを見て、自分で考えて能動的に動いてくれる人が出てきていますね。もちろんまだ意識を避けていない社員が多いですが、ここに関しては今年から評価制度に生産性などを組み込んで、ボーナスなどの評価に反映していく予定です。評価制度に入れ込めば、みんなが気にするようになりデータの活用が習慣化できるのではないかと考えています。

今後の展望

― 今後はどうしていきたいですか?

データ活用の点で元データの正確性はより一層あげていきたいと思っています。現在だとサービスによっては前月の稼働がシンプルに翌月の請求になるものばかりではなく、そうすると工数計算の観点でズレが生じる部分があるので、そこに関してはsento.groupさんに引き続きアドバイスをもらいながら稼働下量と請求額の一致を取れるようにしていきたいと思っています。

あとは、評価制度などの制度設計を行う必要があると思っています。例えば、新しいクライアントの獲得に対してモチベーションを保てる仕組みを作りたいですね。クライアント獲得に貢献した社員TOP3を表彰するといったことも検討しています。

― それでは最後になにかコメントいただけますでしょうか?

会計は職種・業種柄、業務が専門的なので、ある社員が特定のお客様を担当し、経理や税務を一人で回しています。そのように属人化されている中で、スタッフがどのような業務をしているのかを可視化できるようになりました。それが実際に取り組んで得られた成果です。

生産性や収益性のデータが可視化されるようになってきたので、今後は内部でお客さんとのコミュニケーションをログにするというところから、お客さんからどういうお願いをされたのかを貯めていくことで、お客さんの真のニーズを記録として残し、みんなで共有していくことを行いたいです。

つまり、内部の動いている人の分析はできるようになってきたので、今後は外部とのコミュニケーションを可視化していくことで、お客さんのニーズを可視化していき、自分たちの強みをアピールできるようにしていこうと思います。

― データドリブンにまだ取り組んでいない事務所様にコメントをお願いします

同規模・同業種の方々に対しては、求められているアウトプットが申告や計算でありそこに気持ちが行きがちですが、今は最終的なアウトプットだけでは差別化だったりお客さんに価値を感じてもらうのが難しい世の中になってきていると思います。

sento.groupさんとの取組という点と、自力での部分でコメントさせてもらうと、 自力部分については自分たちでできる部分はExcel化したり、社内のポータルサイトを作ったり、請求管理Saasを導入したり、すすめていたおかげでsento.groupさんに相談したときも明らかに紙の顧客名簿からの転記などにならなくて済んだところは取組を開始できた背景として大きいと思います。

まずは自力でできる部分に関しては少しでも生産性が向上するようにリスト管理などはすすめておくのがいいと思います。

そのうえで、今回データドリブンに事務所運営をしていきたいという思ったときに、自分たちのリソースだけで取組めることには限界がありました。

かといって大手コンサルやITの開発会社に依頼するような予算もなかったですし、そもそも社内でその依頼要件を洗い出すことも、その旗振りができる人材もおらず難しかったと感じていました。

そのタイミングでsento.groupさんに相談したことで、ブレイクスルーできたと思います。

担当していた社員はデータをためるための仕組みなどsento.groupさんからの解説はかなり色々勉強になったと思いますし、自分もすごく学びが深かったです。

ただ他の社員的な目線で振り返れば実際の業務上の変更点は本当にExcelに入力していた日報を入力フォームに変えただけなんじゃないかと思いますので、導入ハードルも低かったのが定着した要因かと思います。また経営層はレポート作成や集計作業などでメンバーにグチグチいったりしなくてよくなったのもかなり大きな価値でしたね。

データってとっつきにくいんじゃないかと思うかもしれませんが、和島さんがすごくわかりやすく説明してくださったので、一度和島さんとお話ししてみると良いんじゃないかと思います。

和島「すいません。ありがとうございます笑」

― 本日はありがとうございました!

ありがとうございました!

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村田会計事務所

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